基本的な考え方
ウサヤマブックス(棚・Webサイト・空間・発行するzine)では
・様々な違いを持つ全ての人を歓迎します
・差別を受けたり受けるかもしれないという思いをすることのない、より安全な場所にするための最大限の努力を行い、これを継続します
・SOGIの違い、精神・身体に関わらない障碍の有無、ルーツ、外見その他による差別、ハラスメント、ヘイトを許容しません
・この場所では前項に則り、「差別をする自由」を許容しません。またこのような行為のために場を提供しません
・全ての事象をずっとあったもの/変わらないものと決めつけず、対話と内省によって認識とあり方を常に更新し続けていきます
適用される範囲
・「ウサヤマブックス」Webサイト
・「ウサヤマブックス」名義での各SNSでの発信
・みつばち古書部「ウサヤマブックス」棚
・みつばち古書部のうさやま店番日(応対ポリシーとして)
・ウサヤマブックスが発行するzine
・「ウサヤマブックス」各店舗の店主が「店内」に定めた範囲の本棚と空間
Safer Spaces Policyを設置するにあたって
この「ウサヤマブックス Safer Spaces Policy」は、大阪の独立系書店で偶然手にしたzine「スパイスとセーファースペース」(本屋メガホン/2023年)に触発されて作成するものです。
このzineの対談を読んで、自分自身が昨今の旧Twitterにおいて、タイムラインに流布するトランスジェンダーに対するヘイト投稿を始めとするヘイトや偏見に満ちた投稿が増加したことで心が深く傷つけられ、結果その利用をほとんどやめてしまった(場を失いつつある)という経験を重ね合わせるとともに、対談者の中に東京都内で一箱本屋として活動される方が参加していたということにも大きな示唆を受けました。
Safer Space(より安全な場所)という考え方には、傷ついたり攻撃されたりする可能性をできる限り少ない場所を用意すること、そして常に学び変化していくことによって、多くの人にとってよりよい場所を目指してあり続けていくという思いがあり、それはまずもって少数派としてカテゴライズされ、偏見と抑圧を受けながらもこの同じ社会に生きているあなたを含めた存在に向けられています。
たしかに私たちはそれぞれに、社会的に許されざる感情や願望を含めた様々な思いを内面に抱えており、文学表現などにおいて時にそれらは欠かざるべき表現でもあります。
そもそもおよそ20年前から私がWeb上で書き始めた日記は、無意識に発露されているだろう至らない部分を含めた自分の思いの全てをどこまで外側の世界と折り合いをつけながら表現していけるのか、という試みでもあり、今でも許される表現/許されない表現について模索を続けています。
例えば石川啄木の「ROMAZI NIKKI」は、誰にも見せるつもりはなかった日記なのか、それとも少なくともローマ字を解する人間に対しては開かれていた日記だったのか、ということについていまだに様々な考察がされています。
それは、この人間そのものを赤裸々に描いたとも言えるような日記について考えることが、表現について自分と自分が接する社会との中でどういった境界を設けるべきなのだろうかということへの自問になっているからなのかもしれません。
そうやってうさやま個人対外側の世界、としてきた活動を、もう少し外側に拡張していけないか、ということを今年から考えるようになりました。
その具体的なことは準備できたらお伝えするとして、以上のようなことから、リアルであってもオンラインであってもソーシャルな場であることとしての責任とポリシーを明確にすることは、他人とのつながりを指向するためにも重要なことではないかと思いました。
その大きな前提に立ちながら、場と表現の境界線について考えていくということもポジティブなことなのではないか、ということを思ったのです。
個人的に行っている小さな実践に対して、ここまで大仰な考え方を用意すべきだろうか、という思いはありましたが、街中に誰でも使えるベンチを設置する人が増えていくように、それぞれの範囲での取り組みが、誰かにとって安心し、息ができる場所をほんの僅かでも増やすことになるのかもしれない、という思いで、ここに本Policyを定め、今後も都度見直しながら考え続けていければと思っています。
注:複数の場、という意味を込めて「Safer Spaces」と複数形としています。
2024年8月
ウサヤマブックス/うさやま
*お問合せ先:info@usayamabooks.com)