うさぎ式読書日記251117

先週の日曜日は小説の同人誌の外部合評会に行ってきた。
(外部合評というのは同人誌を出した時に同人以外の人の参加を呼びかけて行う合評会のこと)
会場に入ったら大きな会議室で20人くらいの人が座っていて、こんな大掛かりなところには全く慣れていないのでちょっと緊張する。
この同人はメンバーを女性に限っているということを知っていたので、そんなところにおっさんが大挙押し寄せて文学のことを教えてやる、みたいな構図になったら嫌だなあとか少し勝手に思っていて、それは少なくとも自分も外見だけは完全におっさんなので、頭数の一つになってしまうかもなあと思ったりしていた。
ただ、行ってみたら同人以外に女性の参加者は何人もいたし、全然そんな感じじゃなかった。

8作あった掲載作を1編ずつ取り上げて、外部からの参加者は全員が順番に発言していったのだけど、参加していた人は、逆にみんなそれぞれちょっと違うタイプの人で面白かった。
あと、合評会で自分の意見を発言する、ということ自体が表現でもあったなあと文学理論を教えてくれるように話す人の言葉を聞きながら、ちょっと思い出したりしたのだった。
同人誌に載っていた作品は詩や掌編小説や短編から長編までと様々なものがあって、どれも面白かった。
誘っていただいたあまざき葉さんの作品は掌編小説集「空が向こうからやってくる」で、発想やその転がし方がとても面白いなあと思って読んでいただけだったのだけど、こうやって合評をしたりすると、これはよく考えてみたらとても精密かつ濃密に書かれている感じがして、なんかすごいものだな、って改めて思ったりした。
合評した同人誌に載っていた作品はどれも現代の話で、そういった意味でもとても刺激的だった。

二次会は台湾料理の店だったのだけど、あとから聞いた話だと、このあたりは華僑の人が多いそうで、道理でなのかはわからないけど出てくるものはどれもおいしかった。
右隣に座った人から介護タクシーをしているという話を聞いたり、左隣の人から書肆喫茶moriの話を聞いたりした。だけど、他の人にもそうだけど「どこにいるんですか?」みたいなことを結構聞かれた。
どこの同人なんですか、の意で、今年の春に誘われて初めて小説の同人誌というもののメンバーになっていたので答えることはできたけど、やはりどこかの同人誌にいてなにか作品を発表していくことがないとこういった場所では話すことが少なくなるし、そりゃそうなんだけど書いて発表することが一番みんなに認知されることなんだなと思ったりしたのだった。


それからこの前の土曜日には現代詩の同人の例会があって、2ヶ月ぶりに参加した。
小説とは全く違うんだろうけど、いつもながら容赦のない感じの合評だった。
もうこの場に20年くらい参加しているけれど、こういったお互いに褒めそやすようなことを全然せず、作者や作品の意図や違和をそれぞれの言葉で深堀りしていくという合評を続けることで、かなり鍛えられているんだなと改めて思ったりした。
この日は押さえていた会場の時間だけでは全ての作品を合評できなかったので、移動してまた会議室を借りて残りの作品をするというなかなかないパターンだった。
その第2会場で自分の作品の合評もして、事前に提出できていなかったこともあっただろうけど、そこまで悪いことを言われなくてうれしかった。


そして昨日の日曜日は、神戸エルマール文学賞の授賞式に行ってきた。
件の春に入ったばっかりという同人誌「babel」のまさに自分を誘ってくれた真銅孝さんの悲哀に満ちた作品「タクシーと菅原のためのバガテル」が特別賞を受賞して、そのお祝いをしに行ったのだった。
エルマール文学賞の面白いところは、受賞作品は関西近郊で発表された小説同人誌の掲載作から選出されることになっていて、作品が生まれる土壌である同人誌自体も顕彰しているっていうところだ。
会場は神戸駅の横にあるビルの上階にあるホールであって、同じ同人のメンバーが集まって、式に参加した。

文学賞の主催をした法人の理事や神戸市や神戸新聞の人など色々な人からのスピーチがあったのだけど、へええと思ったのは、その全員が受賞作をちゃんと読んだうえで自分なりの思いを語っていたってことだ。
だからなのか、みんな書くことや文学というものが好きなんだなっていう空気が会場にふんわりと流れているのがとてもよかった。
そして、みんながスピーチで言っていたのが、本や文芸作品が読まれなくなっていたり、成果物に対して対価を払わないような環境になってきている、という話だった。
対価、という意味では現在的なやり方は色々とあるのではないかと思うけど、本屋や図書館が縮小することと反知性主義的な流れとの関係についての話には、確かにそうだなと思ったりはした。
まさか生きることや、本を読んだり書いたりすること自体が状況への抵抗になるような時代が巡ってくるとはね、と思う。これは漫画だってそうなるんじゃないかって思う。
今の自分にはたくさん読んでたくさん書いていこうということ以外にできることが思い浮かばなかったりするのだけど。

帰りに同人の人と三宮のスペインバルに行ってワインをたくさん飲みながら、作品の話とか界隈の話とかをたくさん聞かせてもらって相当酔っ払ったのだった。

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2件のコメント

  1. あまざき葉

    ウサヤマさん、先日の合評会では作品の本質にせまるコメントの数々をありがとうございました。
    真銅さんの受賞、うれしいですね!
    みんなで切磋琢磨して、喜びあえる場があるってやっぱりいいなと思います。
    こうした場の内外で考え抜かれたウサヤマさんの言葉はダイヤモンドのようで、ふれるとどこか神聖な気持ちになり、自分もよりよくなっていこうという力が湧いてきます。
    作品も楽しみにしていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

    • ありがとうございます。
      そこまで言われてしまうとちょっと恥ずかしいところもありますが、外部合評会というのはとても刺激的な場所だなと改めて思わされました。
      またどこかの機会でお話できたらと思います。
      作品もなんとか頑張りたいと思います…………!

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